【兄だったモノ】60話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 聖と鹿ノ子は、比婆山の山頂にある、女神・伊邪那美の御陵で目を覚ました。
  • 聖は昨夜の出来事を「悪い夢」としか覚えておらず、謎の少年「ゴンちゃん」も姿を消していた。
  • 聖の様子は、以前とは打って変わって明るく、前向きになっていた。
  • 彼は、比婆山での旅を終え、次の目的地として宮島へ行くことを提案した。

【兄だったモノ】第60話をネタバレありでわかりやすく解説する

兄の思い出を辿る旅、その次の目的地は、日本三景の一つ、宮島。死と再生の山・比婆山を越えた二人の前には、穏やかな時間が流れるかに思われました。しかし、あの謎の存在が、再び彼らの前に姿を現します。

神の島・宮島へ

束の間の平穏

物語は、宮島へと向かうフェリーの上から始まります。初めて訪れる宮島に、鹿ノ子は子供のようにはしゃいでいました。「家族でも来たことないからすごく新鮮です…!」。 その無邪気な笑顔に、しかし、聖の脳裏には、鹿ノ子の母が叫んだ「娘じゃないわよ こんな女!」という、痛ましい言葉が蘇るのでした。

招かれざる客、再び

「え…!?」。鹿ノ子が突然、何かに驚いて声を上げます。彼女が目にしたのは、いるはずのない、あの少年の姿でした。 「あんた…っ また出てきたの…!」。 そう、あの「ゴンちゃん」が、再び二人の前に現れたのです。しかし、聖は「残念じゃけど今回は一緒は難しいじゃろ?」と、彼の存在を当然のように受け入れ、語りかけます。 その直後、少年の姿は黒い影のように歪み、「残念だけど 今回は…しておくよ」という不気味な言葉を残して、霧のように消え去ってしまうのでした。

呪いの正体と、二人のこれから

神域という結界

あまりの出来事に言葉を失う鹿ノ子。聖は、そんな彼女に宮島という場所の特殊性を語り始めます。 宮島は、島そのものが「神域」。古来より「死」は穢れとされ、島の中にはお墓が一つもありません。そのため、低級な霊などは、この島には入り込めないのだ、と。 あの黒い影(ゴンちゃん)が島に入れなかったのを見て、聖は「やっと俺にも見れたって 嬉しかった」と、意外な言葉を口にします。

本当のあなたを知りたい

聖は、鹿ノ子に問いかけます。「あのこは本当に『あの』お兄ちゃんなの?」。以前の、おぞましい呪いの姿とは違いすぎる、と。 しかし、そんな疑問よりも、彼は今、目の前にいる鹿ノ子のことを知りたがっていました。「この島ならあの子も悪さできんじゃろ?」。今夜は宮島に泊まろう、と彼は提案します。 「俺のこと知りたいって言うてくれたよね?」。 その言葉に、鹿ノ子は力強く頷きます。「はい 聞きます」「だから教えてください」。 「中眞聖という人間を それに至った物語を 教えてください」。 それは、鹿ノ子が聖の過去と、彼の全てを受け入れるという、決意の言葉でした。物語は、壊れた人形が描かれた「Fairy tale」という一枚絵で、静かに幕を閉じます。

【兄だったモノ】60話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、いよいよ物語が最終章に突入したことを感じさせる、非常に重要な回でした。 宮島という神聖な場所を舞台に選んだのが、まず見事ですね。「死」を穢れとする島で、二人が「生」と向き合おうとする。その構図が、あまりにも美しく、そして切ないです。

ゴンちゃんの正体も、少しずつ輪郭を帯びてきました。彼は、やはり兄の呪いと同一の存在なのでしょうか。しかし、以前の姿とは違い、島という結界にはじき出されてしまう。その変化が何を意味するのか、気になります。 そして、聖さんの「やっと俺にも見れた」というセリフ。彼は、これまで自分を苦しめてきた呪いの正体を、初めて客観的に認識できたのかもしれません。そのことが、彼に鹿ノ子と向き合う勇気を与えたのでしょう。 最後の、「物語を教えてください」という鹿ノ子ちゃんの言葉。これは、単なる好奇心ではありません。あなたのすべてを受け入れ、共に歩んでいきたいという、最高の愛の告白だと思いました。ここから語られる聖さんの「物語」が、二人をどこへ導くのか。固唾を飲んで見守りたいと思います。

【兄だったモノ】60話のネタバレまとめ

  • 兄の思い出の地を巡る旅の二番目の目的地として、聖と鹿ノ子は宮島を訪れた。
  • フェリーの上で、再び謎の少年「ゴンちゃん」が現れるが、すぐに不気味な言葉を残して消え去った。
  • 宮島は島全体が「神域」であり、死や穢れを嫌うため、霊的な存在が入り込みにくい場所であることが語られた。
  • 聖は、呪いの存在を初めて自分でも認識できたことに、喜びを感じていた。
  • 鹿ノ子は、聖の過去のすべてを受け入れる覚悟を決め、彼の半生を「物語」として聞かせてほしいと願った。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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