【兄だったモノ】67話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 鬼頭虎次郎の回想で、兄・騎一郎が聖のことになると暴力的になる、「修羅」としての一面を持っていたことが明かされた。
- 虎次郎は、人間の多面性について語り、鹿ノ子の知らない兄の「本性」が存在することを示唆する。
- 消えたはずの謎の少年「ゴンちゃん」が再び現れ、聖と親密に接する。
- ゴンちゃんは、自分こそが聖の願いを叶える存在であり、呪いが聖に干渉できないようにした張本人であることを明かし、「聖が死ぬことが、彼にとっての救いである」と残酷な宣告をした。
【兄だったモノ】第67話をネタバレありでわかりやすく解説する
兄・騎一郎の思い出の地、プラネタリウム。死を決意した二人の旅に、強引に同行する謎の男・鬼頭虎次郎。満点の星空の下で語られるのは、兄との記憶、そして虎次郎がもたらす新たな波乱でした。
星空の下の思い出
兄と見た「星の王子様」
物語は、プラネタリウムのドームに映し出される、冬の大三角形の解説から始まります。赤く輝くオリオン座のベテルギウス、そして、こいぬ座のプロキオン…。鹿ノ子が星空に魅入られていると、隣に座る聖の横顔が、ふと目に入りました。
上映が終わり、聖は懐かしそうに語り始めます。「騎一郎と来たときは星の王子様の朗読劇じゃったな」。兄と共にこの場所を訪れた、過去の記憶。その穏やかな思い出に浸るのも束の間、無粋な声が響きます。 「OH!!! What is essential is invisible to the eye !」。 『星の王子様』の一節を、大げさな身振りで叫んだのは、鬼頭虎次郎でした。
虎次郎の揺さぶり
聖は、お手洗いに行くと言って席を立った鹿ノ子を案じ、「変なことしないでよ…!」と虎次郎を牽制します。しかし、虎次郎は「地球一紳士な男に向かって〜」と、全く意に介しません。 二人きりになったプラネタリウムの展示室で、虎次郎は聖に核心を突く質問を投げかけます。 「鹿ノ子クンのことは?」「好きなの?」。
明かされた旅の目的
卑怯者
聖は、虎次郎の問いには答えず、逆に彼を「卑怯な人」だと断じます。人の家を特定するような、ストーカー紛いの行為をする人間だから、と。 しかし、虎次郎は全く動じません。「そっちの方が卑怯じゃないのかい?」。彼は、聖が鹿ノ子の好意を利用していることを見抜いていたのです。 「あんな健気に慕ってくれる女の子 その気持ちを利用しているんだぜ?」。
「心中じゃあ言うたら」
虎次郎は、聖が過去のインタビューで「天涯孤独」だと語っていたことを持ち出し、鹿ノ子との関係を執拗に探ります。そして、彼はついに、この旅の本当の目的を言い当ててしまうのでした。 「君はどうするん?」「心中じゃあ言うたら」。 「死ぬために旅しとるの」。 その言葉に、聖の表情が凍りつきます。
虎次郎は、そんな聖の様子を見て、心の底から楽しそうに笑うと、信じられない提案を口にしました。 「面白い…!」「好きでもない女と心中なんて…っ」「僕もそれに参加したい!」。 常軌を逸した彼の提案に、聖はただ呆然とするしかありませんでした。
【兄だったモノ】67話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、鬼頭虎次郎というキャラクターの異常性が、さらに際立つ回でした。プラネタリウムというロマンチックな舞台設定と、彼の土足で人の心に踏み入るような言動のギャップが、不気味さを増幅させていますね。『星の王子様』の引用も、彼が使うと途端に胡散臭く聞こえるから不思議です。
聖さんが、虎次郎を「卑怯者」と非難するシーンは、これまで受け身だった彼の、ささやかな反撃のようで、少しだけ胸がすく思いがしました。しかし、それすらも虎次郎には全く通用しない。鹿ノ子ちゃんの好意を利用している、という彼の指摘は、痛いところを突いています。
そして、最後の「僕もそれに参加したい!」という狂気の提案。これはもう、サイコパスとしか言いようがありません。彼は、人の不幸や絶望を、最高のエンターテイメントとして楽しんでいるのでしょう。聖さんと鹿ノ子ちゃんの死出の旅が、この最悪の観客によって、どのような舞台へと変えられてしまうのか。予測不能な展開に、目が離せません。
【兄だったモノ】67話のネタバレまとめ
- 聖と鹿ノ子は、兄・騎一郎との思い出の場所であるプラネタリウムを訪れる。そこにも鬼頭虎次郎がついてきていた。
- 虎次郎は、『星の王子様』の一節を引用するなどして、二人を挑発する。
- 二人きりになった際、虎次郎は聖が鹿ノ子の好意を利用していること、そして、この旅の目的が「心中」であることを見抜く。
- 虎次郎は、「好きでもない女との心中」という状況を「面白い」と評し、自分もその旅に参加したいと、常軌を逸した提案をした。
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