【兄だったモノ】69話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【兄だったモノ】第69話をネタバレありでわかりやすく解説する

「あいつの1番はね 君だったんよ」――。聖から突きつけられた、あまりにも残酷な真実。兄の愛の矛先が、ずっと自分に向けられていたと知った鹿ノ子。しかし、二人の旅路は、聖の突然の裏切りによって、最悪の形で終焉を迎えます。

閉幕、心中ごっこ

大っ嫌いじゃった

物語は、鹿ノ子が聖を突き飛ばした直後から始まります。呆然とする鹿ノ子に、聖は静かに、しかしはっきりと告げるのでした。 「鹿ノ子ちゃん 君のことが 出会ったときからずうっと 大っ嫌いじゃった」。 それは、これまで彼が見せてきた、どんな表情とも違う、冷たく、絶望に満ちた瞳でした。 「楽しかった心中ごっこはこれにて閉幕」。 聖は、これまでの旅がすべて「ごっこ」であったと断じ、鹿ノ子に別れを告げます。彼女が伸ばした手を、「汚い 触らんといて」と、容赦なく振り払って。

「君と俺が一緒なワケないじゃろうが！」

「私達 似てるって…」。必死に食い下がる鹿ノ子に、聖は自らが受けた虐待の記憶を、おぞましい言葉の刃として突きつけます。 泣きながら性器を舐めたことはあったか？ 許しを乞いながら口付けしたことは？ 己の痴態を鏡で見せつけられたことは？ 「君にあった⁉」。 恋に恋するお嬢様である鹿ノ子と、地獄を生きてきた自分。その間にある、決して埋めることのできない断絶を、彼は残酷なまでに突きつけるのでした。

王子様にはなり得なかった

聖に派手にフラれ、一人取り残された鹿ノ子。その前に、あの謎の少年「ゴンちゃん」が現れます。 彼は、この結末を選んだのは聖自身だと告げます。「でも背中は押してあげたかも」。 そして、彼は泣き崩れる鹿ノ子に、とどめの一言を告げるのでした。 「君は！王子様にはなり得なかった！」。 物語の最後は、何かに怯える聖の姿と、彼を抱きしめるゴンちゃんの姿で締めくくられます。

【兄だったモノ】69話を読んだ感想（ネタバレあり）

今回は、あまりにも、あまりにも残酷な回でした。聖さんの豹変ぶりと、彼が鹿ノ子ちゃんに浴びせた言葉の刃。その一つ一つが、鋭く胸に突き刺さりました。 「大っ嫌いだった」という彼の告白。それは、本心だったのでしょうか。それとも、自分と同じ地獄に鹿ノ子を引きずり込まないための、彼の最後の優しさだったのでしょうか。彼が自らのトラウマを語るシーンは、読んでいて本当に息が詰まりました。彼が抱える闇の深さを、改めて思い知らされます。

そして、ゴンちゃんの存在。彼はやはり、ただの子供ではありませんでした。聖さんの最も脆い部分を的確に突き、彼の行動を裏で操っているかのようです。「王子様にはなり得なかった」という言葉は、聖を救おうとした鹿ノ子への、最大の嘲笑でしょう。 聖は、鹿ノ子を拒絶することで、一体何から彼女を守ろうとしたのか。それとも、本当に彼女を憎んでいたのか。真実は、まだ闇の中です。

【兄だったモノ】69話のネタバレまとめ

• 兄の本当の想いを知らされた鹿ノ子は、聖を突き飛ばしてしまうが、その後の聖の口から出たのは、鹿ノ子への拒絶の言葉だった。
• 聖は、鹿ノ子のことが「出会った時から大っ嫌いだった」と告白し、これまでの旅は「心中ごっこ」だったと切り捨てる。
• 彼は、自らが受けた性的虐待の過去を語り、鹿ノ子と自分との間にある、決して埋められない断絶を突きつけた。
• 聖に拒絶され、一人になった鹿ノ子の前に謎の少年「ゴンちゃん」が現れ、彼女が「王子様にはなり得なかった」と嘲笑った。

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コマさん（koma）

野生のライトノベル作家

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社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》