【兄だったモノ】70話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 兄の本当の想いを知らされた鹿ノ子は、聖を突き飛ばしてしまったが、その後の聖の口から出たのは、鹿ノ子への拒絶の言葉だった。
  • 聖は、鹿ノ子のことが「出会ったときから大っ嫌いだった」と告白し、これまでの旅は「心中ごっこ」だったと切り捨てる。
  • 彼は、自らが受けた性的虐待の過去を語り、鹿ノ子と自分との間にある、決して埋められない断絶を突きつけた。
  • 聖に拒絶され、一人になった鹿ノ子の前に謎の少年「ゴンちゃん」が現れ、彼女が「王子様にはなり得なかった」と嘲笑った。

【兄だったモノ】第70話をネタバレありでわかりやすく解説する

「君は!王子様にはなり得なかった!」――。謎の少年にそう嘲笑われ、聖に拒絶された鹿ノ子。しかし、物語の視点は、今回、初めて聖自身の内面へと深く分け入っていきます。彼が抱えていた、兄・騎一郎への本当の想いとは。

春の天気のような男

唯一、本気で叱ってくれた人

物語は、聖のモノローグから始まります。「東雲騎一郎は春の天気のような男だった」。馴れ馴れしく、スキンシップが激しい彼が、聖は本音を言うと苦手でした。 しかし、そんな彼に一度だけ、酷く叱られたことがあります。血走った目で怒鳴られ、頬をぶたれた。愚かな「私」は、その時初めて、この男が本気で「私」を愛してくれているのだと知ったのです。 それは、彼が生まれて初めて受けた、本気の愛情でした。

呪いの正体

「それも結局嘘だったけれど」。 聖は、自らが抱いていた感情も、兄に向けられていた愛情も、全てが嘘だったと断じます。そして、鹿ノ子に向けられた呪いの言葉もまた、ただの八つ当たりに過ぎないのだ、と。 その時、鹿ノ子の前に、あの呪いの影が現れます。しかし、その傍らには、謎の少年「ゴンちゃん」もいました。 少年は、鹿ノ子に問いかけます。「あんたの願いは何なのよ」。そして、あの黒い呪いの正体を、こう明かすのでした。 「聖の死だよ」。 あの呪いは、兄の亡霊などではなく、聖自身の「死にたい」という願いが形になったものだったのです。

それぞれの旅路

混乱する鹿ノ子の前に、ひょっこりと鬼頭虎次郎が現れます。「酷いなぁ!僕が華麗に象の糞を避けてる最中にいなくなるなんて!」。 彼は、動物園の出口で聖を見かけたことを鹿ノ子に告げます。「君は何にも悪くない」「このまま見捨ててしまっても」。そう言って立ち去ろうとする虎次郎。しかし、彼は最後に、鹿ノ子の心を抉るように、こう言い放ちます。 「間違っている」「健全な恋じゃない」。 その言葉に、鹿ノ子は何も言い返せません。

一人、川辺を歩く聖。その目の前に、懐かしい人影が現れます。 「よう」。 それは、亡くなったはずの、兄・騎一郎の姿でした。

【兄だったモノ】70話を読んだ感想(ネタバレあり)

今回は、聖さんの視点から物語が語られたことで、彼の複雑な内面が明らかになり、非常に胸に迫る回でした。 騎一郎のことを「苦手だった」と語りながらも、彼に殴られたことで初めて「愛されている」と実感した、という告白。あまりにも歪で、痛々しい愛情の形ですが、聖さんがどれだけ愛に飢えていたのかが伝わってきて、涙が出そうになりました。

そして、呪いの正体。あれが、聖さん自身の「死にたい」という願いだったとは…。これまでの全ての出来事が、彼の自傷行為だったと考えると、物語の様相が一変します。彼は、誰よりも自分自身に、殺されようとしていたのですね。 最後の、虎次郎の言葉も強烈でした。「健全な恋じゃない」。まさにその通りで、ぐうの音も出ません。しかし、それでも聖を救いたいと願う鹿ノ子ちゃんの気持ちを思うと、本当に苦しいです。 川辺で騎一郎の幻と再会した聖さん。彼の魂は、一体どこへ向かうのでしょうか。

【兄だったモノ】70話のネタバレまとめ

  • 聖のモノローグで、彼が兄・騎一郎に殴られたことで、初めて「愛」を実感したという、歪んだ過去が明かされる。
  • 謎の少年「ゴンちゃん」が再び現れ、聖に取り憑いていた呪いの正体が、聖自身の「死にたい」という願いであったことを暴露する。
  • 鬼頭虎次郎は、鹿ノ子の恋が「健全ではない」と指摘する。
  • 物語の最後、一人になった聖の前に、亡き兄・騎一郎の幻影が現れた。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【兄だったモノ】69話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【兄だったモノ】69話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【兄だったモノ】71話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【兄だったモノ】71話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました