【兄だったモノ】73話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

- 鬼頭虎次郎に「健全な恋ではない」と指摘された鹿ノ子は、それを認めた上で、自らの手で聖を救うことを改めて決意した。
- 鹿ノ子は聖の元へ駆けつけ、「私のこと嫌いでもいい」「生きててほしい」と、涙ながらに本心をぶつけた。
- その告白を受け、聖は井伏鱒二の『山椒魚』の初稿の結末を語る。それは、閉じ込められた蛙が、山椒魚を「怒ってはいない」と赦す、というものだった。
- 聖が物語の結末を語り終えると同時に、彼の背後から巨大な山椒魚の姿をした呪いが現れ、騎一郎の魂を喰らおうとした。
【兄だったモノ】第73話をネタバレありでわかりやすく解説する
「つまりはそういうことだよ」――。自らの罪を『山椒魚』の物語になぞらえ、兄・騎一郎の魂を喰らおうとする呪い。鹿ノ子の悲痛な叫びも虚しく、二人の関係は最悪の結末を迎えるかに思われました。しかし、その時、止まっていたはずの物語の歯車が、再び大きく動き出します。
駆けつけた者たち
呪いの正体
物語は、山椒魚の姿をした呪いが、騎一郎の魂(ゴンちゃん)を飲み込もうとする、衝撃的な場面から始まります。聖は、その光景をただ呆然と見つめるだけ。「結局は」「俺の罪」なのだ、と。 彼は、自分に取り憑いていたあの黒い影が、騎一郎の亡霊などではなく、彼を家に縛り付け、殺してしまった自分自身の罪悪感が生み出した、呪いそのものであることに気づいていたのです。 「騎一郎はお前のことなんかこれっぽっちも呪ってない」。 聖は、自分自身が生み出した怪物に、静かに語りかけるのでした。
「神様、あいつを」
その絶望的な光景を前に、鹿ノ子は「やめて!」と叫びながら、聖に駆け寄ります。 「生きてよ」「お願いだから」。 しかし、彼女の声は届きません。その時、彼女たちの元へ、懐かしい声が響き渡ります。「鹿ノ子ちゃん!」「中眞くん!」。 そこに現れたのは、カンナ、頼豪、そして傷だらけの西迫と、彼を支える犬上の姿でした。彼らは、鹿ノ子の安否を心配し、ここまで追いかけてきたのです。
トゥルパという怪物
「間に合った…」。安堵するカンナたち。頼豪は、目の前で起きている超常現象を冷静に分析し、ついに呪いの正体を突き止めます。 「あれは幽霊じゃない」「トゥルパだ」。 トゥルパとは、チベット仏教に伝わる概念で、人間の強い感情や想いが実体化したもの。つまり、あの呪いは、聖の罪悪感や、罰せられたいと願うマゾヒスティックな感情が、兄・騎一郎の姿を借りて現れた「怪物」だったのです。
そして、頼豪はもう一つの衝撃的な仮説を語ります。 「あの子は恐らく 本物の東雲騎一郎の魂だ」。 あの謎の少年「ゴンちゃん」こそが、本物の騎一郎の魂。彼は、聖を呪いから解放するために、ずっと彼の傍にいたのでした。 物語は、役者が全員揃った舞台の上で、最後のクライマックスを迎えようとしています。
【兄だったモノ】73話を読んだ感想(ネタバレあり)
今回は、これまでの全ての謎が、一本の線として繋がる、圧巻の回でした。 呪いの正体が、兄の亡霊ではなく、聖さん自身の罪悪感が生み出した「トゥルパ」だったとは…。このどんでん返しには、本当に鳥肌が立ちました。彼は、誰よりも自分自身に呪われ、罰せられることを望んでいたのですね。あまりにも悲しい真実です。
そして、ゴンちゃんが本物の騎一郎の魂だった、というのも衝撃でした。彼は、死してなお、愛する聖さんを呪いから救うために、ずっと寄り添っていた。その健気さと、兄弟の深い絆に、涙が出そうになりました。 カンナさんたちが駆けつけてくれたシーンも、絶望の中に差し込んだ一筋の光のようで、胸が熱くなりましたね。特に、あれだけいがみ合っていた西迫さんと犬上さんが、共に聖さんを案じている姿には、ぐっとくるものがありました。 全ての役者が揃い、全ての謎が明かされた今、この物語は一体どんな結末を迎えるのでしょうか。最終回が近いことを予感させる、最高の展開でした。
【兄だったモノ】73話のネタバレまとめ
- 聖は、自分に取り憑いていた呪いの正体が、兄の亡霊ではなく、自らの罪悪感が生み出したものであることを悟っていた。
- 呪いが騎一郎の魂(ゴンちゃん)を喰らおうとした瞬間、カンナ、頼豪、西迫、犬上がその場に駆けつける。
- 頼豪は、呪いの正体が、聖の強い感情が実体化した「トゥルパ」であると見抜く。
- さらに、謎の少年「ゴンちゃん」こそが、本物の東雲騎一郎の魂であるという、衝撃の仮説が語られた。
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