【兄だったモノ】85話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
前話のおさらい
  • 聖の家で偽物のカンナと対峙した鹿ノ子は、その正体を暴き、聖の醜さや弱さも含めて全てを愛し、「絶対に 取り返す」という強い決意を表明しました 。
  • その頃、二階にいた西迫は義姉と兄・騎一郎が関わる過去の凄惨なトラウマを見せられていました 。
  • 悪夢から覚めた西迫は、自分があの長い廊下ではなく、ただの物置にいることに気づきます 。
  • そして彼はその物置で、兄・騎一郎が遺した「もう一冊の日記」を発見するのでした 。

【兄だったモノ】第85話をネタバレありでわかりやすく解説する

前話にて、西迫が兄・騎一郎の「もう一冊の日記」を発見したことで、物語は新たな局面を迎えました。この日記には、これまで誰も知らなかった兄の、そしてこの物語の核心に触れる真実が記されているのかもしれません。

兄・騎一郎の「懺悔」

物語は、その新たに見つかった日記の記述から始まります 。そこには、兄・騎一郎自身の言葉で、日記を綴ることへの戸惑いが記されていました 。担当医に勧められて書き始めたものの、それは自分自身が丸裸になっていくようで落ち着かない、と言います

彼にとってこの行為は、単なる闘病記や気持ちの整理などではありませんでした 。むしろ、自らの罪を告白する「懺悔のようではないか」と、彼は感じていたのです 。この日記が、彼の心の奥底に隠された暗い秘密を解き明かす鍵であることが、冒頭から強く示唆されます。

希望の発見と、忍び寄る魔の手

場面は現在の物置に戻ります。西迫が日記を手に呆然としていると、突然ポケットの電話が鳴り響き、彼は驚きに飛び上がりました 。電話の相手は、頼豪の電話を使った鹿ノ子でした

彼女は、西迫やカンナと連絡が取れなくなったことをひどく心配していました 。西迫は興奮した様子で「東雲騎一郎の日記!」を見つけたと報告します 。それを聞いた鹿ノ子は、「それがあれば中さんを助けられる!」と、声に希望をにじませるのでした

電話越しの惨劇

しかし、その希望は一瞬にして打ち砕かれます。鹿ノ子と話している最中、西迫の身に突如として異変が起きました 。電話の向こうから彼の悲鳴が聞こえ、通信が途絶えてしまいます

西迫は、おびただしい数の聖の幻覚に襲われていました 。その幻覚は、やがて禍々しい翼を持つ悪魔のような姿へと変貌し、彼に襲いかかります 。それは、彼の聖への愛情や罪悪感を利用した、あまりにも残酷な精神攻撃でした。

記憶という名の地獄

西迫はなすすべもなく、その場に崩れ落ちます 。彼が見せられていたのは、過去、聖と二人きりで過ごした幸せな記憶の断片でした 。かつて「世界に俺たちだけみたいじゃね」と笑い合った甘い思い出が、今や彼を苛む地獄と化していたのです

この偽物による精神攻撃は、人の最も大切な記憶を武器に変え、心を内側から破壊する、恐ろしいものであることが分かります。

日記が想定していた「たった一人の読み手」

物語は再び、日記を綴る騎一郎の視点に戻ります。彼は、文章を書くことの難しさを感じながら、「読む人のことを考えて書け」という、かつての先生の言葉を思い出していました

その言葉をきっかけに、彼は自問します。この懺悔録を、自分は一体「誰かに読まれたいのかねぇ…」と 。読まれたいような、読まれたくないような、複雑な気持ちの中で、彼は一つの結論に至ります 。もし、この日記に「相応しい読み手」がいるとすれば、それはきっと、たった一人しかいない、と

そのモノローグに重なるように、電話の向こうで惨劇が起きているとも知らず、息をのむ鹿ノ子の顔が映し出され、物語は幕を閉じます。この日記は、初めから彼女に読まれることを想定して書かれていたのです。

【兄だったモノ】85話を読んだ感想(ネタバレあり)

希望と絶望の落差が凄まじい回でした。もう一冊の日記が見つかり、「これで聖を助けられる!」と誰もが思った矢先に、西迫が精神攻撃を受ける展開には、本当に肝が冷えました。偽物の能力は、人の記憶や愛情といった、最も個人的で神聖な領域に土足で踏み込み、それを破壊し尽くすという、あまりにも悪質で恐ろしいものです。

西迫が見せられた、幸せな記憶が地獄に変わるシーンは、読んでいて非常に胸が痛みました。彼が抱えていた聖への想いが、まさかこのような形で彼自身を苛むことになるとは、皮肉という言葉では片付けられません。

そして、最後に明かされた、日記の「たった一人の読み手」の存在。それは、ほぼ間違いなく鹿ノ子のことでしょう。兄・騎一郎は、一体どんな想いで、どんな真実を、妹だけに伝えようとしていたのでしょうか。彼が遺した最後の「懺悔」が、この地獄のような状況を打開する鍵となるのか、それともさらなる絶望をもたらすのか。次回の展開が気になって仕方がありません。

【兄だったモノ】85話のネタバレまとめ

  • 物置で発見された日記は、兄・騎一郎が自らの罪を告白する「懺悔録」として綴られていました 。
  • 西迫は日記の発見を鹿ノ子に電話で報告しますが、その通話中に、聖の幻覚を見せる強力な精神攻撃を受け、倒れてしまいます 。
  • 偽物の攻撃は、西迫が持っていた聖との幸せな記憶を悪夢に変え、彼の心を苛むという残酷なものでした 。
  • 日記の中で騎一郎は、この懺悔録に「相応しい読み手」がたった一人だけいると記しており、それが鹿ノ子であることを強く示唆して物語は終わります 。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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