コラム

少林寺レーシングとは?元ネタや由来・広まった理由を解説

ずっちー

こんにちは、コミックコミュニティ運営者のこまさんです。「少林寺レーシング」と聞いて、あなたは何を思い浮かべましたか。カンフー映画の題名にも、バイクチームの名前にも聞こえますよね。この言葉がニュースに登場したのは、街の交番と、警察の緊急通報を受ける窓口でした。

「少林寺レーシング」は、交番や110番で「ショウリンジ」などと叫ぶ迷惑行為を指してSNSで広まった呼び名です。名前の元ネタは特定されていません。 行為を撮った動画からは、そこで何が起きたかは読み取れても、誰がどんなつもりで名づけたかまでは分かりません。

私はDL同人作家として、作品の中で実際に語られた台詞と、あとから読者がつけた呼び名を区別して読んでいます。今回も、その読み方が役に立ちます。声に出された言葉、動画についた名前、警察が対応した出来事。この三つをたどると、由来が謎のままでも、何が広まり、どこに問題があったのかが見えてきますよ。

  • 「少林寺レーシング」が指す行為と「ショウリンジ」という発言の違い
  • 大阪のアカウント名に由来する説と、少林寺拳法との関係
  • 短い動画が模倣のきっかけになった事情と、兵庫・大阪などで報じられた経緯
  • いたずら通報が緊急対応に及ぼす影響と、動画を見かけたときの受け止め方
夕方の街並みに立つ交番と行き交う人々

少林寺レーシングとは何を指す?

ニュースを読むとき、まず押さえたいのは「その名前で何をまとめているのか」です。今回の報道には、交番での出来事、緊急通報を使ったいたずら、SNS上の投稿が登場します。呼び名が同じでも、場所や関わった人、問題になった行動はそれぞれ違います。

交番と110番で報じられた行為

兵庫や大阪で報じられたのは、交番で「ショウリンジ」などと声を上げて立ち去る行為や、110番で同様の言葉を告げて電話を切る行為です。報道には「ショウリンジじゃ」という発言も出てきます。伝えるべき事件や事故がないのに、警察官や通報を受ける人を対応に巻き込んだことが問題になりました。

声に出された「ショウリンジ」と、SNSや報道で一連の行為を指す「少林寺レーシング」では、言葉の役割が違います。前者は現場や電話口での発言。後者は、各地の似た行為や動画について話すときの呼び名です。記事の見出しに後者があっても、現場にいた人が全員、長いほうの名前を口にしたという意味ではありません。

「交番で変わった言葉を叫ぶこと」とだけ覚えると、ニュースの大切な部分が抜け落ちます。大阪では交番の設備を壊した疑いのある事案まで報じられました。一方、すべての事案で物が壊れたわけでもありません。その記事が通報、交番内の行為、設備の損壊のどれを扱っているかを見ると、呼び名だけで受けた印象より、実際の出来事を正確につかめます。

団体名や競技名と受け取っていい?

「レーシング」と聞けば、そろいの服を着たチームや、乗り物で速さを競う場面が浮かぶかもしれません。交番や110番をめぐる報道で、この語は参加者名簿や競技規則のある催しを指してはいません。各地で行為をした人たちが、一つの団体に所属していたという事実も確認されていません。

ややこしいのは、この名称を実際に使ったSNSアカウントも報じられている点です。「その名前を掲げるアカウントがあった」という記事と、「同じ名前で呼ばれる行為が別の県でも起きた」という記事は両立します。ただ、そこから「そのアカウントが全件を指示した」と結びつけるには、個々の行為とのつながりを示す事実が要ります。

漫画でも、複数の場面に同じ通称が登場するだけでは、そこに描かれた人物同士に面識があるかまでは読めませんよね。今回、伝えられているのも、主に似た行為に同じ呼び名が使われた記録です。「メンバーが全国にいた」「同じ集団が各地を移動した」と人物関係まで読み足すと、報道とは別の話になってしまいます。

名前の元ネタと大阪発祥説

「元ネタは何?」という質問には二つの意味があります。なぜ「ショウリンジ」という言葉を選んだのか。なぜ一連の行為を「少林寺レーシング」と呼ぶようになったのか。片方に手がかりが見つかっても、もう片方の答えまで決まるわけではありません。

なぜ「ショウリンジ」と叫ぶのか

2026年11月7日時点で、最初に掛け声を使った人や、その人が込めた意味を特定できる裏付けはありません。特定の漫画のコマや映画の台詞をまねたと確認できる資料も示されていません。「ショウリンジ」という掛け声自体の由来は、報道でもなお謎とされています。

では、「SNSで見て面白そうだった」という趣旨の説明はどうでしょう。これは、動画を見た人がなぜ同じような行為をしたのかを考える手がかりです。でも、最初の人がなぜその言葉を選んだかには答えていません。作品の台詞を友人の口癖として覚え、作品名までは知らずに使うこともありますよね。言葉を受け取った人の動機と、その言葉が生まれた理由は別々にたどる必要があります。

発言をカタカナで伝える記事と、呼び名を漢字で書く見出しを並べると、最初から寺院の「少林寺」を意識していたようにも見えます。けれども、聞こえた音を伝える記事から、その人の頭に浮かんでいた漢字や固有名詞までは分かりません。表記の一致は検索の手がかりになっても、語源を決める証拠としては足りないんです。

大阪のアカウント名に由来する説

一部報道が紹介したのが、大阪の非行グループのSNSアカウント名が由来だという説です。のちに同様の名前を使うアカウントの投稿が捜査対象になったため、二つの話をつなげて読みたくなります。ただ、そのアカウント名が呼び名の由来だとは確かめられていません。

由来を確かめるには、行為に呼び名がつく前から、その名称がアカウントで使われていたことに加え、そこから人づてに呼称が伝わったと分かる材料が要ります。アカウントが見つかった日、ニュースになった日、その名前が使われ始めた日は別かもしれません。画面に表示された名前だけでは、どちらからどちらへ伝わったかは読み取れないわけです。

また、大阪で多くの事案が確認されたことも「大阪発祥」の証明にはなりません。地域別の件数から分かるのは、どこで警察がどれくらいの行為を把握したかです。最初の投稿があった場所や命名者の所在地を調べた結果ではありません。人に説明するなら、「大阪のアカウント名に由来するという説が報じられた」まで。最後の「説が報じられた」を落とすだけで意味は変わります。

少林寺拳法や中国の少林寺との関係

日本の武道である少林寺拳法や、中国の寺院である少林寺と、今回の迷惑行為を結びつける関係は確認されていません。集英社オンラインが少林寺拳法の関係先に直接取材した記事でも、関係者は今回の行為への関与を否定しています。この取材で確かめられたのは、武道の関係者自身の説明です。それで行為をした側の命名理由まで分かったことにはなりません。

「少林寺拳法が関係しているの?」と聞かれたら、「そういう関係は確認されていないよ」と答えられます。「じゃあ、なぜ少林寺という音を選んだの?」と重ねて聞かれたら、答えは「そこは分かっていない」です。この二つは矛盾しません。呼び名から連想される団体に、名づけた側の意図まで説明してもらうのは、筋の違う話でしょう。

「元ネタは不明」と書く理由

現場で聞かれた言葉、ネット上の呼び名、武道や寺院の固有名詞。似た部分は目に見えますが、「誰が何を参照して名づけたか」を示す線は引けていません。作品名や団体名を目にしたら、それを連想した人と、由来を説明できる人が同じかどうかにも注目してください。

図書館で古い資料を広げて言葉の由来を調べる若者

なぜ短い動画から広まったのか

発祥が不明でも、広まる途中の様子まで謎というわけではありません。TikTokなどの短編動画を通じて行為が知られたと報じられ、動画を見たことに言及した少年少女もいました。本人たちが語った動機には、再生回数を眺めるだけでは見えない、身近な友人との関係が表れています。

動画を見たことが模倣のきっかけに

大阪などで報じられたのは、SNSの動画を見て面白そうだと思った、学校の友人を笑わせたかった、という趣旨の説明です。本人が意識していたのは、電話を受ける警察官より、すぐ隣で反応を返す友人だったのかもしれません。短編動画で行為を知り、身近な人の反応を期待してまねたという説明が報道にあります。

再生回数だけでは、見た人が笑ったのか、腹を立てたのか、ニュースで知って確かめに来たのかは区別できません。一方、当人が動画をきっかけに挙げたという報道は、少なくとも一部で見ることから模倣へ移った経緯を伝えています。「ネットではやっていたらしい」とひとくくりにするより、誰が何を見てどう反応したかを具体的に考えられます。

もちろん、その説明が当てはまるのは、そう話した人たちまでです。全員が同じ一本の動画を見たとか、一つの投稿が各地の出来事をすべて引き起こしたといった因果関係までは確認できません。「TikTokなどで拡散した」と「TikTokの特定の投稿者が始めた」でも意味は違います。前者は話が運ばれた場所、後者は発端となった人についての主張です。

短い映像から抜け落ちるもの

漫画を描くとき、私は、場面をどこで切るかによって同じ出来事の印象が変わるのを意識します。誰かが立ち去るコマで終われば、その人の勢いが残る。残された側の表情をもう一コマ置くと、読者の目はそちらにも向きます。短い動画を受け取るときも、「画面が終わったあと」は見過ごせません。

たとえば、声を上げた人が立ち去るところで映像が終われば、見る側に伝わるのは発言と直後の反応くらいです。その後、交番を訪れた人は何を相談しようとしていたのか。応対する人は何を確かめる必要があったのか。そこは映像に収まりません。特定の動画の撮影後を想像で補わなくても、短い場面では、対応を引き受けた側の事情が伝わりにくいことは分かります。

覚えやすい呼び名がつけば、背景を知らない人にも言葉だけが伝わります。あなたが最初に知ったのも、動画よりニュースの見出しや友人の一言だったかもしれません。呼び名を知る人が増えることと、行為をまねる人が増えることは別です。動画を批判した人や、意味を調べに来た人まで、行為を支持する側に数えることはできません。

こまさんのワンポイントアドバイス

私は、映像の中で笑いが起きていたら、「通報を受けた人の側から描いたら、どこで話が終わるかな」と考えます。電話を切った側には一瞬でも、受けた側には、何の電話だったのかという疑問が残ります。視点を一度入れ替えると、同じ場面が違って見えますよ。

スマートフォンで短い動画を見る若者と画面から広がる波紋のような光

兵庫と大阪で報じられた経緯

「大阪は43人だった」「いや、50人と書いてあった」。どちらの数字も報道に登場します。食い違って見えるときに確かめたいのは、報道された日、警察が行為を把握した期間、件数と人数の違いです。

2026年秋に報じられた主な件数と人数
地域・報道時点 確認された行為 検挙・補導の人数
兵庫・10月21日まで 9月下旬~10月20日に該当する110番が40件以上、交番での迷惑行為が7件 小学校低学年から18歳までの約25人
大阪・10月23日 9~10月に約250件。うち、いたずらの110番は約200件 7~16歳の43人。うち32人は13歳以下
大阪・11月2日 9月25日~10月31日の関連行為は約280件 7~16歳の50人
机に広げた日本地図と件数を書き留めた無地のメモを見つめる手元

兵庫で確認された通報と交番の被害

産経新聞やサンテレビによると、兵庫県警は10月21日までに、小学校低学年から18歳までの約25人を検挙・補導しました。9月下旬から10月20日までに「ショウリンジ」などと告げて切る110番が40件以上あり、交番内にジュースをまき散らすなどの迷惑行為が7件確認されています。交番で起きたことだけに目を向けると、通報窓口にも影響が及んでいた点を見落とします。

「40件以上」は電話の件数で、「約25人」は検挙・補導された人の数です。一人につき何件だったのか、一件に何人が関わったのかという内訳は、この数字からは分かりません。年齢についても、小学校低学年から18歳までという幅は分かりますが、兵庫でどの年齢の子が最も多かったかまでは示されていません。

飲み物がまき散らされた事例も、珍しい出来事として眺めるだけでは、何が問題なのかを見過ごします。交番は、落とし物を届けたり、身の安全について相談したりする人が訪れる場所です。安心して入れる状態に戻すには手間がかかります。動画に映る時間と、その場を再び使えるようにする時間は一致しません。

大阪の約250件には何が含まれる?

時事通信が10月23日に伝えた大阪府警のまとめでは、府内の関連行為は9~10月に約250件でした。大阪の「約250件」には、いたずらの110番約200件が含まれます。 足して約450件とするのは誤りです。交番で撮られた映像が印象に残りやすい一方、集計の大きな部分を占めたのは、目に見えにくい電話での行為でした。

府内では、交番のドアガラスを壊した事案や、交番に爆竹を投げ込んだ事案も報じられています。設備を壊した事案では、建造物損壊の疑いでの逮捕が伝えられました。大阪府警が悪質な犯罪として厳正に対処する姿勢を示した背景には、こうした現実の被害もあります。「ネットで変わった言葉がはやった」というだけでは、対応の理由を説明しきれません。

この時点で検挙・補導されたのは7~16歳の43人で、うち32人は13歳以下でした。報道の表現は「43人を検挙・補導」です。短く言い換えようとして「43人を逮捕」とすると、警察の対応について別の事実を伝えてしまいます。とくに子どもが関係するニュースでは、年齢と人数から一人ひとりの処分まで想像しないようにしたいところです。

11月の逮捕報道で分かったこと

11月2日に伝えられたのは、投稿する側に関する動きです。「少林寺レーシング」と名乗るSNSアカウントで暴走行為を告知し、警察の業務を妨げた疑いがあるとして、大阪府警が18歳の少年を偽計業務妨害容疑で逮捕したと報じられました。一連の問題で投稿側を摘発したのは府警では初めてとされています。本人は容疑を否認していると報じられています。

ここでいう「告知」は、投稿に何が書かれ、警察がどう対応したかに関わる言葉です。告知どおりの暴走行為が起きたという意味にはなりません。関西テレビも、当時、その投稿による暴走行為は確認されていないと伝えました。容疑の対象は投稿をめぐる業務妨害であり、少年が「ショウリンジ」という言葉の考案者だと判明したわけでもありません。

同じ11月2日時点の報道では、大阪府内で9月25日から10月31日に確認された関連行為は約280件、検挙・補導された7~16歳は50人でした。10月の43人と11月の50人は、異なる時点で示された集計です。 足して93人とすることも、投稿をめぐり逮捕された18歳を50人の年齢内訳に入れることもできません。

数字を見るときは「いつ・何を・どの単位で」

約250件と約280件は時期の重なる集計です。差を取って「特定の数日間にちょうど30件増えた」とも言い切れません。「約」のつく件数は当時の規模をつかむための、あくまで一般的な目安です。一方、43人のように人数が明示された箇所は、その報道時点の人数として読んでください。

三重の事案から言える範囲

三重県でも、交番への侵入をめぐる逮捕事案が報じられました。大阪や兵庫以外にも似た行為が広がったことが分かります。ただ、地図上で複数の地域に印をつけられることと、伝わった順番や経路を線で結べることは違います。ある地域の報道が先に出ても、そこが最初の場所だとは言えません。

また、「各地で」という見出しは、どの地域でも大阪と同じ頻度で起きたという意味ではありません。個別の逮捕事案を伝える記事と、一定期間に府県内で確認した件数をまとめた記事とでは、対象の範囲が違います。三重で報じられたのは、交番への侵入が問題になった具体的な事案です。その規模を大阪の件数から推し量ることはできません。

模倣すると何が問題になる?

「変わった言葉を言っただけで、なぜ警察が対応するの?」。そう聞かれたら、私は、何と言ったかに加えて、誰の時間や場所を使ったかを考えます。助けを求めるための電話、誰でも相談に行ける交番、危険な予告を受けて警戒する警察官。それぞれに、画面の外で果たす役割があります。

緊急通報を受ける側から考える

110番は、事件や事故で警察の緊急対応を必要とする人のための番号です。 通報を受ける側には、相手がいたずらをしているのか、危険が迫って十分に話せないのか、電話がつながった時点では分かりません。発信した人が冗談のつもりで切っても、受けた人がその場で「何も起きていない」と判断できるとは限らないのです。

問題は電話代や通話時間だけではありません。受ける人の注意や確認にかかる時間は、同じ瞬間に助けを求める人のためにも必要です。いたずらが重なれば、本当に必要な通報や現場対応に支障を来すおそれがあります。今回、特定の被害者への到着が何分遅れたと確認されたわけではありません。架空の数字を置かなくても、緊急性を判断する窓口を娯楽に使ったこと自体が問題です。

目の前で暴力や破壊が起きているなど、今まさに助けが必要なときは、ためらわず110番を使ってください。言葉の意味を知りたいときや、急を要しない相談とは事情が違います。警察庁は、暮らしの安全に関する緊急ではない悩みや困りごとは、最寄りの警察署や警察相談専用電話「#9110」へと案内しています。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

参照元:警察庁「ご意見・ご要望」警察への通報と相談窓口の案内

どんな行為が捜査の対象になった?

具体的に報じられたのは、交番の設備を壊した事案での建造物損壊の疑いと、SNS上の告知で警察に警戒させたとする事案での偽計業務妨害の疑いなどです。同じ呼び名で報じられても、何をしたか、設備にどんな被害が出たか、警察の業務にどう影響したかで問題になる点は変わります。言葉を口にした人すべてに一律の罪名がつく、という読み方は正確ではありません。

記事を読んだ人が自宅で名前の意味を話す場面と、用件もなく緊急通報の窓口を使う場面を思い浮かべてください。同じ音を口にしても、相手も、使っている仕組みも、起こり得る影響も違います。「言ったらどんな罪になる?」という疑問には、実際に捜査の対象になった行為を示すほうが、言葉だけを怖がらせるより正確に答えられます。

もう一つ大切なのは、逮捕は有罪の確定ではないこと。11月の投稿の事案では、本人が容疑を否認している点までが報道の一部です。逮捕だけを取り出して「首謀者が分かった」と書き換えると、事件の段階も疑いの中身も変わります。個別の行為の法的な扱いや責任について、最終的な判断は専門家にご相談ください。

意味を確かめるために交番や110番を使う必要はありません。 動画を撮ろうと誘われても、現場で試したり、撮影のために誰かをけしかけたりしないでください。危険な行為が目の前で起きている場合は、撮影より自分と周囲の安全を優先しましょう。

動画を見かけたときの伝え方

友人から動画が届き、「これって何のネタ?」と聞かれたら、映像を転送しなくても答えられます。「交番や110番を使った迷惑行為の呼び名だよ。掛け声の由来は分かっていない」。意味を知りたい相手には、この二文でほぼ伝わります。現場の行為を再現したり、投稿者のアカウントを探し出したりする必要はありません。

迷いやすいのは、批判するために映像を再投稿する場面です。注意を促す文章を添えても、その文章ごと次の人に届くとは限りません。映像だけ切り取られれば、呼びかけた側の意図から離れて流れていきます。家族や学校で話すなら、動画を何度も見せるより、「本当に困って電話したとき、受ける人には何を聞いてほしい?」と尋ねるほうが、緊急通報の意味を一緒に考えられます。

報道された年齢や地域から個人を探すことも、由来を知る助けにはなりません。服装や背景が似ているだけで、無関係な人や学校に疑いが向く可能性もあります。ニュースで分かっていることを説明するのと、映った人の素性を突き止めようとするのは、別の行動です。

夜の街で明かりのついた交番と公衆電話を見つめる後ろ姿

由来を知りたい人の疑問とまとめ

この話題には、意味を一言で答えられる部分と、答えの出ていない部分があります。とくに混ざりやすいのは、「どこで多く報じられたか」と「どこで最初に生まれたか」です。名前や数字について聞かれやすい点を、短く答えられる形にまとめました。

よくある質問(FAQ)

少林寺レーシングという名前は、少林寺拳法に由来しますか?

いいえ。少林寺拳法や中国の少林寺と、今回の迷惑行為を結びつける関係は確認されていません。少林寺拳法の関係先が取材に「関係ない」と答えたことが報じられています。名前の元ネタとして特定の作品や団体の名前を挙げられるだけの裏付けもありません。

大阪の約250件には、何が含まれますか?

10月23日の時点で、大阪府内の関連行為が約250件とされました。うち、いたずら110番は約200件です。約250件の中に約200件が含まれます。

兵庫と大阪で報じられた人数はどう違いますか?

兵庫では、小学校低学年から18歳までの約25人が検挙・補導されました。大阪では、7~16歳の43人が検挙・補導されたと報じられ、11月2日時点では50人に増えています。報道の時点と地域を分けて読むのが大切です。

交番で声を上げただけで罪に問われますか?

声を上げただけで罪が決まるわけではありません。交番の設備を壊した行為が建造物損壊の疑いとして扱われ、投稿で警察に警戒を強いた行為が偽計業務妨害の疑いとして扱われました。声を上げたすべての行為に同じ罪名が自動でつくわけではありません。

動画を見ただけで問題になりますか?

動画を見て名前の意味を確かめるだけでは、今回のような通報や現場での行為をしたことにはなりません。問題になるのは、行為そのものや、映像の拡散が模倣につながる場合です。動画が回ってきたら、再転送する前に、その映像が何をしている場面かを確かめましょう。

まとめ

「少林寺レーシング」という名前を見たときは、呼び名と、現場で聞かれた言葉と、警察が実際に確認した行為を分けて読むのが大切です。名前の元ネタは分かりませんが、短編動画で広まり、兵庫と大阪で検挙・補導の報道が出て、動画を見た少年少女のなかには模倣を認める説明があったことまでは分かります。

  • 「少林寺レーシング」は、交番や110番で「ショウリンジ」などと叫ぶ迷惑行為を指してSNSで広まった呼び名です
  • 大阪のアカウント名に由来する説は報じられましたが、名前の元ネタは未特定です
  • 少林寺拳法や中国の少林寺との関係は確認されていません
  • 兵庫では9月下旬から10月20日までに該当する110番が40件以上、大阪では9~10月に約250件の関連行為が確認されました
  • 緊急通報や交番は、事件や事故で助けを必要とする人のための窓口です。動画を見かけたら、再転送や模倣よりも、受け止め方を選びましょう

分からないことを「分からない」と書くのは、読みやすさを犠牲にしているのではありません。私は、由来が不明なまま、言葉が広がってしまったことを、この記事のいちばんの特徴だと思っています。もし、あなたが「ショウリンジ」という音だけを聞いたら、由来を推測するよりも、「この言葉は、誰が、どこで、どんな行為に使ったのか」を確かめてみてください。

執筆者:こまさん(コミックコミュニティ運営者)
最終確認日:(出典照合はこの日の情報にもとづく)

出典:朝日新聞、読売新聞、時事通信、産経新聞、サンテレビ、関西テレビ、集英社オンライン、警察庁

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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